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教室指導方針


生きる環境

 

2人の子どもが、目をギラギラさせ対峙しています。
 手にはそれぞれカブトムシを1匹ずつ持っています。
 1匹は約8cmの大型カブトムシ、もう1匹は普通の大きさのどこにでもいるカブトムシ。
 この2匹のカブトムシにこれから相撲をさせようとしています。
 果たしてどちらが勝つでしょう?ちなみに2匹ともコンディションは良好です。

 結果は……、何回戦っても普通のカブトムシが勝ちました。
 これは私が子どもの頃実際に目にした光景です。

 なぜ身体は小さいのに勝てたのか。特殊なトレーニングをしていた
わけではありません。
 2匹の違いは「育ってきた環境」にありました。大型カブトムシは
デパートの虫売り場で育てられたもので、普通のカブトムシは、その日森から採ってきたばかりのものでした。

 デパートの虫売り場にいる虫は、狭いカゴの中にいなければならないものの、餌の心配はありません、雨にうたれることもありません。一方、自然の中にいる虫は自由に行動できる反面、餌の確保や住む場所だけでなく外敵からの攻撃を常に意識しながら生きていかなければなりません。生きのびるために考えることしなければならないことがたくさんあるのです。
 
 自然に生きる虫は、日常の生活そのものが厳しい環境と言えます。生きてきた環境の違いは、相撲という場面で身体の大きさを凌駕するほどの実力の差につながりました。

 人間にも同じことが言えます。受験で合格したければ、厳しい環境を選択し合格に見合う努力をしなければなりません。現状の学力より上を目指せば目指すほど、勉強の質と量も増やさねばなりません。ブロックでの製作でも同じです。高度なもの、複雑なものを作りたければ、地道な作業の繰り返しも増え、必要な知識も身につけねばなりません。予定通りに行かないことや想像とはかけ離れたものになってしまうこともあるでしょう。挫折感や焦燥感とも向き合わなければならなくなります。

 人間の世界が虫の世界と異なるのは、環境を選べてしまうことです。虫は、自分の住む環境を選ぶことができません。デパートの虫売り場にいる虫はその場で餌を与えられ生きるしかないですし、野生の虫は、厳しい環境の中で生き抜いていくしかないのです。それに対し、人間の世界は厳しい環境の中で成長するという選択もできるし、ただご飯を食べ寝てゲームして……、ということを繰り返すこともできるのです。特に日本という国は、後者の選択が成り立ってしまう場でもあります。
  
 お子さんの成長を考える時、「厳しさ」というものがもたらす意味や価値、そして身を置く環境を選ぶ際の基準の一つになることを伝えるのも大人の役割であるように思います。