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教室指導方針


成長に必要な経験

 
 人が何かを習得し成長して行く段階を表したものに「守・破・離(しゅ・は・り)」という言葉があります。この言葉は、室町時代に能の役者・作者として活躍し、能の大成者と呼ばれた世阿弥が唱えたものです。

「守」…師と呼ばれる人からの基本の形や教えを素直に受け止め全てを吸収するつもりで学ぶ期間
「破」…基本を守りながら先の発展を目指し試行錯誤する期間
「離」…誰かへの依存を離れ自分だけの方法を確立し独自の世界を創る期間

 何かを新しく学び始め熟達していく道筋として確かに必要な過程だなとうなずかされます。この言葉の意味するところを踏まえ教室に来る子供たちの成長を考えると、1つの大きな経験の重要さをあらためて感じます。
 
 「守」の段階において子供たちは大きく2つに分かれます。素直に誰か(親や先生)の教えを受け入れることができる子と自分の方法に固執し誰からの指示もアドバイスも受け入れない子。もちろん内容や状況によって両者の間に位置する子供もたくさんいます。
 少し極端な例としてあえて2つの視点で考えてみます。前者の子は、新しいことに取り組んだ時、比較的早く上達していきます。しかし「破」の段階の途中から成長がとまりがちになります。誰かに言われたことは出来るけれども、試行錯誤を要するような場面に出会ったとき立ち止まってしまいます。後者の子は、最初から苦労します(最初から天才的に上手く出来るようなケースもありますが)。なかなか上達への道筋が見えてきません。ですが、仮に「守」の段階を越えられたとき、後に待つ「破」から「離」へはたどり着きやすいとも言えます。どちらのタイプにも良い部分とそうでない部分が存在します。

 あらゆる子供にとって「守・破・離」をスムーズに進んでいくために重要な経験とは。
 それは「自分の限界を知る」という経験です。
 素直に人の話しを受け入れることが出来る子には、誰かの教え通りにするだけではあくまで人真似レベルまでしか達することができないという経験を。人の意見を受け入れず自分の力だけで進めていこうとする子には、自分一人の力だけでは乗り越えられないものが存在することを認識する経験です。

 限界を知るという経験により自分自身で試行錯誤することの大切さ、つまりスムーズにいかない中にこそたくさんの成長のヒントが隠されていることに気づけるようになります。ある段階からは、あくまで他人は他人であって自分自身で解決のための方法や手段を考えなければ先へ進めないことがわかるようになります。逆に誰かのアドバイスを素直に受け入れることで、自分一人の力では辿りつけなかった場所へとスムーズに達せることや、時間の短縮、効率を高めることができるようになることも実感できるのです。

 「自分の限界を知る」

 子供たちにはぜひ早い時期にこの経験をしてほしいと思います。ただし子供が自分の限界を実感できるようになるには、周囲の大人のあり方が問われます。素直な子の場合、何でも言うことを聞くからと大人が先にアドバイスをしてしまいがちです。先にアドバイスをしてしまっては限界を知ることが出来ません。「自分で考えてごらん」と促すことが必要です。意見を聞かない子の場合、悩んで行き詰まっているなという瞬間を上手く捉え、「ちょっとアドバイスを聞くといいこともたくさんあるよ」と教えてあげる、そんな瞬間が必要となります。
 
 大人は子供の性格や現状を鑑み、あえて声をかけないようにしたり逆にほんの少しだけ手を差し伸べてあげたりという柔軟な意識を持たなければならないのでしょう。